マーケ専門用語コンプレックス
マーケティングを学びだしたころ、専門用語の数に圧倒されました。
4P
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コンバージョン
CTR
セグメンテーション
マーケットシェア
インバウンドマーケティング
ファネル
カスタマージャーニー
ペルソナ
インサイト
ベネフィット
ウォンツ
ニーズ
リターゲティング
オウンドメディア
DMP
SSP
DSP
RTB
CDP
うわーーーーーー
って思いますね。私もそうです。
そんな原体験からか知りませんが、ムロヤの過去のコンテンツを見返していて気づいたことがあります。
専門用語についての記事多っ!
拙者、マーケティングやブランディングは、結構独学で苦労しました。
いやぁ、ほんとカタカナの専門用語とか、アルファベット三文字の言葉が多いですよね。
初めての商談同席で飛び交ってる言葉が宇宙語に聞こえてた頃が懐かしいです。
で、ちょっと思ったんですけど、
なんでこの世に専門用語ってあるんでしょうね?
また最近はネットで「本当に頭がいい人はわかりやすく説明できる」みたいな発信を目にするようになりました。本当にそうなのでしょうか?たびたびこれについて論争も起きています。
私なりの整理ですが、こんな感じだと思うのです。
⭐️専門用語が威力を発揮するシチュエーション例
こんな感じで、専門用語を共通言語として使えている集団では、めっちゃ会話が早そうですよね。
このことから、専門用語とは小難しい会話は絶対悪ではなく、専門家同士の意思疎通のスピードアップに必要なものだとわかります。
学問の世界では、論理の積み上げに必要なものだとわかります。
次の例ではどうでしょう?
ああああ、なんか途端にコミュニケーションに難が発生しそうですよね。
ついてこれてないじゃんっていう。
進化系のこちらはどうでしょう?
なんかもう目も当てられないですよね。
リードジェネレーションとかリードクオリティケーションとかSDRとかBDRとか会話に飛び出すのは、新参者には辛いです。
こちらとしては伝えているつもりでも、チームメンバーには伝わっていないかもしれません。
マーケ初学者ばかりのチームならこっちの方が実行力の高いチームになれる
伝わらないくらいだったら、かっこ悪くても平易で伝わる言葉のほうがいいですよね。
そうですよね。うんうん。
専門用語とは、プロ向けの仕事道具
専門用語が多いということは、それだけ概念を言語化できており、再現性を高められているということ。
平たい言葉で言えよと言いたくなるけど、その専門用語の海に浸った方が体系的に論理立てて学べるメリットがあります。
概念とは思考の道具です。
専門用語をたっぷり習得することは、精密機械をたくさん揃えるみたいことだと思います。
その領域の問題解決の思考の精度が高まるのです。
卓球王国の中国では回転やフォームに関する専門用語がめっちゃ多いらしいです。優れた師はこういう言葉をたくさん知ってるのだと思う。
取扱注意[ ! ]
ただ、普段使わない専門用語とか扱い慣れてないうちは、慣れてる道具(概念)で本質を掴めるように心がけるとよきだなと思うのです。
例えば「KGI/KPI」で悩む人は、KGI/KPIを考えない方がいいと思います。
「マジで達成したいゴールと、ゴールに近づくためにめっちゃ大事で連動する中間ゴールはなんだろう〜」
って考えるのお勧め。
慣れない専門用語は使い慣れてない道具みたいなもんなので、本質に迫って腹落ちできる言葉で思考を進めましょう。
これはいろんな専門用語、領域の習得にも言えます。既知の知識に結びつけて、目的にしがみついて思考を始める方がいいのです。
「インフルエンサーマーケティング」であれば、こういった手垢にまみれたカタカナ用語で考えちゃって思考停止せずに、
・あの人からのお墨付きをいただきたい!
・あの方からの発信で、新しく関心を持ってくれるようにしたい!
とかの本当に求める変化を追求すること。
学習方法として
概念の緻密さと、概念のわかりやすさは別モノです。
専門領域について専門用語だけで学ぶのは、ときに非効率でもあります。
まずは木彫りのクマのように、荒削りな言葉でもまずは全貌や要点をおさえられるなら全然良くて、そこから細かい概念は専門用語の力を借りるのが早い。枝葉より幹、根を知ることです。
DALL-Eで画像生成しました
料理なら「塩少々」と「塩ひとつまみ」の量の違いの表記の意味からはじめに一生懸命学ぶよりも、美味しい料理の塩の使い方を知るほうがいい。
ブランディングの学習の落とし穴も近くて、大量のカタカナ専門用語の沼に浸る前に、まずは腹落ちする理解から概念のネットワークを整えるのが断然おすすめ。
どうするかよりも、なぜするのか。そこからロジックを整理して頭に入れ込むほうがいい。
専門用語といえど、ただの怖がらせる場合もあります。
専門用語を欲する人間のインサイト
なんで人ってカタカタ用語を使いたがるのでしょうか?
結論から言うと、カタカタをかっこよく使いたい自分でありたいっていう欲求が、素直な成果創出の邪魔をすると思っています。
カタカナが醸し出す
・かっこいい
・優越感
・わたしイケてるという感覚
に魅了されちゃうのでしょうね。私もそうですから。
世界標準、グローバルスタンダード、なんか憧れとか、なんか被れたい感情があるのですかね。
学歴コンプに近い、専門用語コンプレックスのような。
でも、キラキラしたカタカナはだいたい危ないです。
具体性に乏しい抽象理解でわかった気になり、やることなすこと上滑りしやすいから。
マーケティングとかブランディングとかUXって言葉もいいけど、商売とかおもてなしとか信頼とか不便不満不快の解消とか、肌感覚で掴める概念を扱うほうが仕事道具としてときには使いやすかったりします。
専門用語はテクニカルな課題解決に使える精密施術器具みたいな。こういう使い分けです。
デジタルマーケティングとかの領域って、カタカナや略語でなんか難しい!って思っても、実際には平易に考えればカンタンなことは山ほどあると思うのです。
もちろん己の情報処理力や前提の情報をどれだけもってるかにもよるけど、見栄を張って難しい言葉を使っている人がこの世にいることも覚えておいて損はないです。
専門用語の手懐け方
マーケティングの専門用語軍団は「概念空間での位置づけ」がわかれば途端に手懐けられます。
KPI設計とか各データの相関うんぬんも「消費者行動の流れ」がわかれば扱いやすくなります。
腹落ちからスタートして、あとは細かくそれぞれの専門用語や数字という記号との対応付けすること。
こうすると学びがはかどる説あります。
娘が「あいうえお」「ABC」「123」とかことばと概念を結びつけて覚えるプロセスを見て思ったのです。認知心理学的な観点なのかな。
概念をまず掴む。そして記号と結びつける。この順番。マーケティングもファイナンスもブランディングもマネジメントも、途端に学びやすくなります。
そしてまた専門用語っていい概念パッケージみたいなものだから、いい言葉と出会うことも技能習得には重要。
あとは専門用語わかってるプロ同士の会話は早いしね。こういうのが専門用語から得られる恩恵。
日本語でまなぼ
日本語の良さもあります。日本人ならそれを活かしたらいいじゃんって思うのです。
むしろアジアを代表する日本として、独自の発展を遂げてもいいじゃないですか。そういうほうがワクワクします。私は。
いきなり世界標準の専門用語を相手にするんじゃないんです。
日本人のチームなら日本語でいいじゃん。日本語で学べばいいじゃん。
で、日本語で学んだ後に、「へぇ、この専門用語って、この概念のことね。オッケ、理解したわ」と、既知の情報(知ってる平易な言葉の概念)と未知の情報(専門用語)を接続していくのです。
この理解方法です。接地記号問題です。
自分に合った道具を導入する順番を間違えないこと。
いきなり専門用語を覚える丸暗記の勉強法は、ビジネスで実践していく実務家には合わないと思うのです。
腹落ちして、概念を掴んで、その概念をスパーンと瞬時に伝えられるのが専門用語なのですから。短い言葉で言えるメリットってことです。
でもデメリットが顕在化しまくって、かえって意思疎通できなかったら道具の意味がないじゃないですか。
ふわっとした理解は学習時間の浪費です。
もっと大人の学びは楽しくわかりやすく面白くできる
恐縮ですが、俺がやらなきゃ誰がやるんだと使命感があります。
学ぶ障壁とかそういうのを私は取っ払っていきたい。
おまけ:カタカナのいい使いどころ
尊敬する経営者、任天堂の元社長、岩田聡さんの言葉より。
こういうとき、カタカナは気恥ずかしさを消してくれる役割があると思ってる。
道具に良いも悪いもありません。使い分けです。
第2回「じゃあ自分のハッピーは何かな?」この本の、そして岩田さんご自身の大きなテーマだった「ハッピーであること」。秀島さんご自身の「ハッピー」とは?
読者の皆さん、
「ハッピーですか?」
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