付箋メモ『現代のチャネル戦略』

マーケティングって、華がある広告とかヒットする商品開発とかにスポットライトが当たりがちですが、チャネルという観点で企業戦略を見ていくと、これまた面白い世界が広がっています
ムロヤ 2022.05.30
誰でも

実際に付箋をした箇所と、そのプラスアルファの解説・考察をお伝えします。

今回は、コロナショックの影響で激変の「チャネル」について。販路ですね。マーケティングの4PのPlaceにも関わります。

住谷宏『現代のチャネル戦略』

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この領域は「オムニチャネル」「OMO」「ソーシャルコマース」「コンテンツコマース」とかなんかいろいろ言われていたり、WEBマーケをゴリゴリやってる人からすると、こういうリアルの販路構築ってあまり馴染みがないですが、その辺をスッキリ整理させてくれます。ちょっと硬めの本です。

ムロヤの付箋と心の声

・チャネル戦略の主体は、本書では消費材メーカーに限定して考える。消費財メーカーが、商品を販売する時に、与えられた目標を達成するために、1)販売エリアの決定、2)販売経路(チャネル)の決定、3)チャネルの構築、4)チャネルを構成する流通業者との関係管理あるいはチャネル調整、5)チャネル評価、などをチャネル戦略と呼ぶ

→視点広がりますね。

・小売店数、業種別構造、規模別構造、業態別構造などの変化をみることが大切となる。小売業の上位集中を把握できるとさらに良い。

→こういう情報は交渉にも活きます

・(ドラッグストアについて)化粧品・医薬品を中心にしながら、食品で消費者を来店させ、調剤で固定客をさらに作るというコンビニエンス・ストアにはない武器もドラッグにはあるので、当分、ドラッグの成長は続きそうである。

→確かに。薬剤師の採用も激戦なので、法のガードもあり、この優位性は続きそうですね。

・(消費財メーカーの消費者直販行動について)グリコのアイスクリームの自販機「seventeen ice」や「オフィスグリコ」は有名であるが、その他にも、ロッテのネット通販やネスカフェアンバサダーなども直販の例である。

→グリコさんすごいですよね。既存のスーパーさんとかとカニバリを起こさない新しい販路獲得の例。

・そのため、ナルミヤ・インターナショナルは、「百貨店からSCに予想をこえるスピードで客が流れている。百貨店で高級子供服を販売するだけでは成長は無理」と判断し、07年9月から家族向け店舗である「ポール フランク」(米 カジュアルブランド)をSC(ショッピングセンター)に出店し、3年後には50店にするという計画を発表している。

→ショッピングセンターが次々と生まれて、そこで買い物をする行動が増えていますもんね。私もそうですし。

・探索性向は、商品や店舗を探す努力の程度を意味する。そのため、一般的には、探索性向は商品の種類によって異なる。つまり、最寄品、買回品、専門品になるに従って探索性向は大きくなるといわれている。

→こういう分類を知っておくと、施策の事故を防げます

・カバレッジが高いほど、消費者との接点が多いといえる。その消費者が持つ情報は不完全であるから、市場に出ているすべての商品のブランド、品質、価格を知っている訳ではない。そのため、カバレッジが高いほど商品は売れる可能性が高い。

→カバレッジの高さと、商品にまつわる知識はあんまり関係ないとは思いますが、要は配荷率が高まれば商品を手にしやすくなるので売れる可能性が高まりますよね。

・メーカーは、販売業者に対して「誘引」(ブランドロイヤリティ、広告の強度、マージン、リベート、その他の援助)を提供するとともに、販売業者から受け取る貢献に対する「期待」を持っている。

→パワーバランスというか、利得獲得の交渉。

・多くのスーパーでは年に2回程度定番売場の棚割りを決めている。メーカーにとっても小売企業にとっても、最も基本的な売場である。

→このタイミング目指して、各社いろいろ売り込んでますよね。

・チェーン小売企業は巨大化する。彼らの販売力はますます強力なものになり、それを武器にバイイング・パワーを発揮してくる。従来のやり方では、メーカーは十分な収益を上げることができない。

→小売企業のバイブルとされているチェーンストア理論を読むとこれまた面白いですよ。

・工場の稼働率が損益分岐点比率を下回っているような状態なら、PBの生産をすることによって稼働率が上がり、製品1個あたりの固定費が低下する。また、PBの販売には、営業費用がかからないために、PB生産の生産量に占める比率が一定以下なら、メーカーにとっては売上高を増やし、利益確保につながる可能性がある。

→小売が仕掛けるPB(プライベートブランド)と、メーカー側の思惑。

・依存度を高めると相手にパワーを与えることになるので、オンワードのように一定割合以下の依存だったので、チャネル戦略の余裕度が高く、ブランド価値を毀損することなく、チャネル戦略を変更できたのである。

→ファイブフォース分析と4Pのつながりについて、この例からすごくわかりますよね。

<まとめ>

・メーカーと小売は、顧客に商品を届ける仲間であり、利益分配を巡る駆け引きをする相手でもある。

・メーカー側は「D2C」などの言葉があるように独自チャネルを持とうとし、小売側はPBを持とうとする。垂直統合の形で融合してきている。

・これからはライブコマースなど、ネット通販や販売員が溶け合っていくだろう。

・ユニクロはSPAとして、小売も製造もしています。セブンイレブンは、小売も、自社のPBもしています。金のシリーズとかありますよね。

マーケティングって、華がある広告とかヒットする商品開発とかにスポットライトが当たりがちですが、こんな感じで、チャネルという観点で企業戦略を見ていくと、これまた面白い世界が広がっています。

住谷宏『現代のチャネル戦略』

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