価値提案は未顧客がもつ記憶に結びつける大切さを感じたムロヤの購買エピソード

ランニングシューズと骨伝導イヤホンを買って気付かされた、消費者すら認知していない選択軸の存在。あと見込み客が認知できない価値は、価値なぞ存在しないに等しいよねって話。
ムロヤ 2023.09.06
誰でも

趣味と健康&体型維持を目的に毎週1回は走るようにしています。

それで先日、3年ぶりくらいにランニングシューズを買い替えました。このナイキのやつです。

買うまでに、いろいろ迷ったんですよね。買うに至るまでのカスタマージャーニーでマーケティングの観点でも学びが多かったので振り返りながら書いてみます。

まず、新しいランニングシューズを買おうと近くのスポーツ店に行ったけど、なんかときめくものがなかったのですよね。厳密に言うとちょっとだけときめくものはあったんですけど、なんか色が真っ青であんまりタイプじゃなかった。

次に隣駅のスポーツ店に行ったら、ときめくかっこいいデザインの靴がありました。18000円くらいしますが。

で、その靴と、あとセール中の9000円ぐらいの靴のどっちにしようかなと迷ってました。まぁ心の中では「セール中の9000円でいっかな。デザインもいい感じだし、クッション性も悪くないし」とちょっとこちらが優勢でした。

セール中の9000円のがこちら。

で、お店の靴の近くに貼ってあったQRコードを読み込んで通販サイトの情報を色々見ていくなかで、購入の決め手になったのがあったんです。

それは「怪我をしづらい」ということ。

QRコードを読み込んで見た通販サイトはこちら。

はい、ここのスタッフレビューです。

https://store.alpen-group.jp/f/dsg-189790-

https://store.alpen-group.jp/f/dsg-189790-

NIKEの公式サイトのほうには野暮ったくなるので書いていないと思うのですが、こちらのスポーツ店ではご覧のとおり

「怪我ゼロを目標に!!普段のトレーニングシューズにはどうですか??^ ^」

などと、怪我のリスクを抑えているというベネフィットをガンガンと提案しています。

こっちの方はちょっと 18000円とかで高いスニーカーで、セール品の9000円の靴との差額でいうと10000円にはなり結構大きく感じるんですけど、「怪我をしないという価値」を知ってからは、これは全然見合う対価だなと思ってこちらのほうを買いました。

怪我を防げるんだったらプラスの1万円くらい全然払いますよ!って感じです。当初はセール品の9000円の靴が優勢だったにも関わらずです。

なぜこう価値を感じたかというと、私の記憶がそうさせたのだと思います。

ランニングしていてたまに足の痛みを感じる時があったんですよ。8kmくらい通過地点でちょっと膝に違和感があるなぁとか、ちょっと前だと足首になんか違和感があったのですね。もし怪我しちゃったら日常生活に支障をきたしますし、別に自分はタイムをいかに縮めるかにこだわりはなく健康のためにランニングしてますので、「怪我をしない」というのがでかい価値だったのです。

買う前では

・ときめくデザイン

・クッション性がいい靴かどうか

・1万5000円以内くらいで買えたらいいな

くらいの検討軸だったのですが、通販サイトで「怪我ゼロを目指して作った靴」と知り、「そうだ、怪我をしない機能が備わった靴」という検討軸も大事だなと気付かされたのです。このスタッフレビューの情報に出会わなければ、この検討軸を持って比較検討はできていなかったはず。

というか、これぞOMOですね。店舗接点とデジタル接点が織りなす技!

そしてスタッフレビューもUGCですから、こういうUGCによっていろんな便益が発露される威力をホットリンク退職後も痛感したのでした。ECサイトとUGCって相性抜群。店頭でスタッフをいっぱい配置して営業トーク頑張らなくても、ECサイトにいろんなレビューがあれば(ネットはセルフエデュケーションではありますが)価値を学習しますからね。デジタルの威力!

骨伝導イヤホンの買い物のエピソード

もう一つ、最近、骨伝導イヤホンを買いました。ランニング中によく曲を聴いたり YouTubeとか聞いたりしてるんですけども、車がガンガン 走ってる道路だったら全然聞こえなかったり、強風の日も全然聞こえなかったりして困ってたんですよね。そこでイヤホンで音量マックスにしても全然聞こえないのです。

で、ふと 電気屋さんに行った時に、骨伝導イヤホンの特設コーナーを見かけました。

SHOKZというブランドでした。ムロヤはオーディオにはちょっとこだわりがある人材でしたので、骨伝導イヤホンについて漠然と興味はあったんで、いざ試しにつけて聞いてみると、意外といい音質なんだなという風に感じました。

そして、これはいいぞと思い、そこからガチの骨伝導イヤホン導入の検討が始まりました。

お店で色々製品別に聴き比べました。買おうかちょっと迷ったんです。OpenRun ProとOpenMoveで迷ってました。で、これもどちらかといえば安いほうのOpenMoveでいっかなと思ってたんです。初期の接点ではこちらの製品が優勢でした。

そこのお店では結局買わずに帰ったのですが、その日の夜にYouTube 動画でその製品名で色々検索をして情報収集しました。

これもあることをきっかけに、意外な購買の軸が定まったんですよね。

それは「防水性」です。

聴き比べていてちょっといいなと思っていたのが 防水性 が IP 55というレベルだったんです。でも、YouTuber の動画を見ると IP 67のほうをおすすめしていました。プロじゃなくて普通の方がいいですと。

▼購入の決め手になったYouTube

私、結構ランニング中にはめっちゃ汗をかく人材です。ですので、これはずっと 汗(=水)と接しているようなデバイスの状態になりそうだな、つまりはもう水没状態みたいなものだろと想像がつきました。

自分に合ってないデバイスを買ってしまったがゆえにすぐに故障なんて避けたいという気持ちで、当初に迷っていたOpenRun ProでもOpenMove でもなく、IP 67のOpenRunを買いました。

もちろん、音質はいいに越したことはないんですけども、音質だけを求めるんだったらカナル型とかヘッドホンつければいいじゃんって話ですし、ランニング中に快適に曲が聞けるというところでこの製品を選びました。

そんな感じで「怪我をしない」だとか「水に強い」という価値、この価値にとことん気づくまでの自分の背景があったから、この価値に気づいたというところでございます。

どちらも決め手は「リスクの回避」というのが共通していて面白いなと思いました。

靴だとクッション性、アガるデザインかだったのが、プラスで「怪我を防げること」。

イヤホンだと、まあまあいい音質で、うるさい道でも聞こえるかどうかだったのか、「水に強いこと」。

見込み客に選んでもらう確率を高めるためにはどうしたらいいのかということについて、考えさせられるエピソードでした。カテゴリ内での比較検討時に、このベネフィットを提案したら一気に形成逆転できるのかと。ベネフィットは過去に痛みを感じた記憶があると、提案されてはじめてそこで価値に気づく。そして、どの接点で伝わる状態になっていればいいのかなどなど。

なお、こういう自分のショッピング行動を内省して学びを得ることを「ワイN1分析」と名付けています。

マーケティングの勉強ってこういう内省からもできるのがいいですよね。

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