Webマーケティングからのキャリアパスは「うろちょろ戦略」で
こんにちは。株式会社スノードームの室谷です。
今回は、Webマーケティングに従事する方々に向けて、キャリアの築き方や広げ方について私なりの考えを共有したいと思います。
私は技術屋からマーケターに転向した人間です。マーケターとして一番最初に触れたのはWebマーケティングで、SEOやWebサイト改善、CVR改善に注力しました。その後、SNSマーケティングや、ブランディング、BtoBマーケティングなどもやってきました。Webマーケティングが原点です。
長く携わっているからこそ感じるのですが、Web業界って、本当に変化が激しいですよね。「Webマーケティング」というカテゴリーは今後も存在し続けるものの、そこで必要とされるスキルは移り変わっていくと思います。
そうなると一つの役割にこだわり過ぎてしまうのはちょっと危ないかもしれません。スキルがAIに置き換えられたり、陳腐化していくからです。そういえばASO(アプリストア最適化)って最近全然聞かなくなりましたね。
「Webマーケティング」という枠組みの中で、どのように振る舞うかがキャリアを切り開く鍵になるでしょう。
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周辺領域をかじり、うろちょろする
生成AIで作った画像
Webマーケティングに従事していると、「Googleが新しいツールを作りました」「Adobeがこんなツールを発表しました」というニュースをよく耳にします。もしも一つの役割に固執していたら、新ツールの登場によって、自分の役割が不要になってしまう可能性があります。
人力でスプレッドシートなどを使って計算していたものが、新しいツールが登場したことで自動化された……なんてことも、珍しくはありません。
なので、1つの狭い領域の専門家である自分に存在意義を感じるよりも、周辺領域もかじっておいたり、周辺領域をうろついておく。そんな振る舞い方が大切だと思います。(もちろんプロフェッショナルとして突き詰めることは不可欠ですが、よく言うπ型とかT型みたいなものです。I型のように縦しかないとリスクヘッジができないですから。横をどこかで拡張するのです)
振る舞い方の基本は、スキルどうしの合わせ技や掛け算を考えることです。そうすれば、1つの役割がツールで代替されたとしても、自分の役割を残すことができますよね。
一つの狭い領域に留まるのではなく、Webマーケティングに関する周辺領域をうろついておく。このような「うろちょろ戦略」が大事だと、私は考えています。
例えば、SEOがキャリアの起点なら
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例えば、SEOからキャリアを始めた場合は、どのようにキャリアを広げられるでしょうか。
絶対的な正解はありませんが、いろいろな検索エンジンの仕組みを把握したり、SEO経由でWebページに来た人をよりコンバージョンにつなげられるような、CVR改善の知見を身につけておくのもいいですよね。顕在層との接点を生み出せるスキルがあるからこそ、下流の行動喚起もセットで技術習得するのです。
また、「検索」は、GoogleなどのWebサイトに限ったものではありません。YouTube検索やTikTok検索、Instagram検索など、SNS検索に手を伸ばすと、SEOで身に着けた「検索への対応」というコアスキルは活かされます。メディアで横展開することで、できる役割を増やすことができます。
より広い意味での「検索」として、MEOというGoogleマップを使った地図検索で上手くヒットさせるための手法を身に着ける方法もあります。
SEOそのものを極めていくと、月間1億PVを誇る大規模サイトのデータベースSEOという超マニアックな世界もありますよね。そういうスキルを持つ人はかなりレアですので、そちらの方向もあります。
例えば、Instagramのアカウント運用が起点なら
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Instagramのアカウント運用からキャリアを広げていく場合も考えてみましょう。
PinterestのようにInstagramに近いビジュアル系SNSをマスターして、扱える媒体の種類を増やすことも一つ。
広告運用にもなじめそうだったら、Instagram広告の運用を覚え、広告とオーガニック運用を掛け合わせてより全体最適なInstagramアカウントの活用に発展させることもできると思います。その後にGoogle広告やYouTube広告ができるようになるなど、「広告」という領域での拡張も期待できます。
また、Instagramの運用によって、さまざまなユーザーの日常に潜り込んで「自分ごと化」してもらうコミュニケーションが習得できると思います。潜在層とのコミュニケーションですね。そこで培ったスキルを活かして、SNSからPRの領域に挑戦することもできるかもしれません。
画像や動画作成など、いろいろなクリエイティブの作成にも関わっていたら、広告クリエイティブなどのディレクションを極めていくこともできそうです。別のSNSへの転向だけでなく、いろんな才能の発揮の仕方が考えられます。
マーケティングは「総合芸術」だから
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マーケティングは、お客様に対していろんなアプローチをしますよね。お客様に自社の商品の価値を感じていただいて、「お金を払ってでも欲しい」と思っていただいて、購入して、使っていただいて、「買って良かった」「嬉しい」と思ってもらう。
そのために、商品パッケージをどうするか、価格帯をどうするとか、プロモーションをどうするかなど、あれこれ考えるわけです。いろんなことが調和して初めて、お客様の購買意思決定、購買行動につながるわけですよね。
だから、「SNSの運用だけ」や「WebサイトのLPだけ」がマーケターの仕事ではないんですよね。
お客様は全ての接点を見ています。なので、今の職務での役割が限定的だとしても、お客様を起点にあらゆる施策を考えていくと、いずれは総合芸術を目指さざるを得ないんですよね。
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なので、Webマーケターとしてもしもキャリアに迷っていたら、総合芸術化を目指すか、あるいは総合芸術に向けた分業としての特定の専門家を目指すかの(するのもいいと思います)大きく2つの方向性もあると思います。確固たる領域の専門家だったり、プロデューサーだったりっていう、いろんな道のプロでもいいと思うんですよね。
例えば、「テーマパークのマーケだったら負けません」とか、NPOや社会課題の解決、社会貢献系の寄付者へのアプローチだったり、社会へ啓もうするような領域で、マーケの行動変容の力を使えますって話も良いと思います。これに限らず、ECに強いとか、BtoBに強いとか、クリニックに強いとか、いろんなのがあって良いと思うんですよね。
自分のなかで、「他よりも私はここが得意です」という領域を、テクニカルスキル軸以外の、深い事業ドメイン理解といいますか、そこをもっておくのも良いですよね。そうすると、例えば「ECのことならこの人だ」と白羽の矢が立つ存在になれるかもしれません。
頼られビリティの向上です!
兼務やマルチスキルをビビる必要はない
得意領域を広げておくという話に関連して、マルチスキルや多能工化という言葉もありますよね。
私の感覚では、そこにビビりすぎている方が多いように感じています。人って「いろいろやろう!」と思ったら、やれちゃうものだと思っています。もちろん先天的な面も多少はあるかもしれませんが、大体のことはそこそこできるのが人間だと思っています。心のブレーキが強く作動してるだけですよ。
例えば八百屋さんは、VMD(売り場作り)や仕入れ、接客、営業、会計(レジ打ち)、レジ締めなど、一人でいろいろな役割を担っていますよね。
「会計兼接客兼レジ締め兼VMD兼商品の品出し兼…」ってなると思うんですが、結局商売大体やれるんですよね。
これを読んでいるあなたも、きっと歩いたり走ったりスキップしたり自転車に乗ったり自動車を運転する移動に関するマルチスキルを持っていると思います。
Webマーケティングの世界でも、「元々はSEOをやっていて、今は広告の運用やWebサイトのCVR改善もできます」という人はいます。キャリアのスタートになった領域以外できないということはなく、SEOから広告運用に転向したり、アカウント運用からディレクションに転向したり、いくらでも越境できると思っています。ビビり過ぎずに、ぜひ飛び込んでみてください。
「未知の領域だから…」と尻込みするかもしれませんが、「意外とやれるな」と思えることの方が多いでしょう。そうやって得意領域を広げていき、狭い領域に留まり続けないこと。
そんな「うろちょろ戦略」が、変化の厳しいサバイバル環境で生き残るために必要だと思います。
うろちょろすることも大事。結果的に点が繋がる事もありますよ〜。
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