「何屋かわからない」は致命傷。展示会の瞬間認知心理学の気づきメモ公開
先週末、東京ビッグサイトで開催されたマーケティングWeekに行ってきました。出展されていた読者の方もおられると思います。お疲れ様でございました。
展示会のような接点では、瞬間の認知心理学が重宝します。
マーケティングコミュニケーションにおける瞬間の認知心理学の応用を、弊社では「瞬間コミュ力」と呼んでいます。
瞬間の判断は、
最初の0.5秒で「見えるか・気づくか」(注意・知覚のステージ)
その後1〜2秒前後で「自分に関係あるか・嫌か良いか」(意味づけ・感情のステージ)
さらに数秒以内で「読むか、押すか、離脱するか」(意思決定・行動のステージ)
といった流れで進みます(わかりやすさ重視でいろいろ端折ってるのでご注意を)。
各ブースを見ながら書き留めていた職業病のメモを共有します。
BtoBマーケティング従事者はもちろん、展示会に情報収集しにいく方も、いつもと違った新鮮な視点で見られるかも。
声かけ
🔵いいなと思った声かけ
・通路を歩く人へ「〇〇でーす」の声かけだけで素通りされそうでも、「こういう問題をこう解決するサービスです」とサービス説明完了までもっていく(「興味ありませんか?」と押すのではなく通り去るまでの数秒で)
→まさにエレベーターピッチ。これはアプローチの良し悪し等か、その方の仕事の姿勢がいいなと思いました。
・キーエンスのブースのコンパニオンさんのバッグの配り方が、手にところを向けてくるし意識してないと受け取りそうになるくらいなめらか。
→防御反応しづらいなと思いました。
なぜそう感じてしまったのか、AIに聞いてみたところ
「手元」への最適化: 人は、自分のパーソナルスペースに異物が入ると拒絶反応(防御反応)を示しますが、彼らは「チラシ」を渡すのではなく、「空いている手にパーツを嵌める」ような物理的なフィッティングを行っています。
→たしかに絶妙な位置にあった。さすがキーエンスさん。ノウハウが詰まりまくっている。キーエンスの展示会には、ユニクロのチラシ並みにこだわりが詰まりまくっている。
🔵うーんと思った声かけ・アプローチ
・「AIエージェントでーす」
→話題のAIエージェントって、あなたのことだったんですね
→って思ったけど、AIエージェントでーすの声かけで反応するような層がターゲットだったらそれは正しいかもしれない。戦略は見えないまま戦術のレビューはしようがないため
→とはいえどうなんだろうか、注意を引くためのこのメッセージング設計は。
・「なにをお探しですかー?」
→(あなた誰?)と思ってしまいますね。それを言えるのは主催のRX Japanさんかと。あなたは何屋さんですかをまずは知りたい。そのうえで返事をするか判断したい。
・来場者の胸元に半ば強引にチラシを突きつける
→ティッシュ配りでもここまではしませんし、受け取らないなと思ったらスッと腕を引きますうよね。
→とはいえ営業圧は絶対悪ではなく、話しかけてほしい人には助かるものだ。こちらから話しかけるコストをかけずとも、チラシを受け取るだけで「サービスについて教えてほしい」というシグナルを発することができるから。
→とはいえ顧客体験は悪い。とはいえ、強引にチラシを突きつけてきた会社や商品名は全く覚えていない。
→よってブランド毀損につながらなかった摩訶不思議現象
・上記の行為の往復ビンタ。狭い通路のエリアで挟撃するように両サイドからチラシを無理やり差し出された
→面白い状況すぎて、思わず吹きそうになった。この状況でチラシを受け取る人ってどんな心境なんだろうか。
・ブース前に三人くらい並んで待機してるのは怖すぎ。身構える。ジロジロみたらあかんなと感じる
→なぜそう感じてしまったのか、AIに聞いてみたところ「霊長類的反射」と出てきました。
進化心理学的には、複数個体からの同時注視は捕食者評価や群れによる排除のシグナル。理屈を飛び越えて身体が先に身構える。「ジロジロ見たらあかん」は、視線交換を避けて相手の注意スコープから離脱する反射。
→たしかにこういう心理が働いたかもしれません。通行人にチラシを受け取ってもらえる確率を高めるための布陣という狙いだったかもしれませんが、この抵抗感が強く働いてしまったのでしょう。
・ほか:声かけ担当する人は、他のブースも5〜6分うろうろしてどんなメッセージングをしているか聞いてみるといい。いろんなブースを巡る人の視点で、埋もれてるかどうかなど。
ブース設計
🔵いいなと思ったブース設計
・販促物コーナーのものづくり精神溢れるブースが個人的にとても好きだった。見ているだけでワクワクする
→マーケツールやサービス系と違って、Productのモノがあるから真の「展示」ができる。セルフサービスな展示。
マーケツールやサービス系のブースエリアとの対比をクッキリと感じられ、あちらは売り込みが元気すぎるなと感じるなど。

・頭上の看板に「LINEアカウント運用支援」と、どストレート
→普通は社名を書くところだが、サービスカテゴリが書かれていた。
看板に社名・サービス名が書かれていれば、知られてる人には見つけやすくなる。
ただ、このケースのように「あの会社(サービス)のブースあった」と気づいてくれる人が皆無な無名状態だったら、カテゴリの提示だけでまずは興味のある方を吸い寄せる設計はなるほどなと思った。
どストレートなアプローチすぎて今まで発想したことがなく、これはハッとした。
🔵うーんと思ったブース設計
・イケおしゃブースは全体的に減った傾向だが、まだあった
→抽象的なコピー(ECに没入を)、没入ってなに?だからなに?、カテゴリわからん、何屋だ。立ち止まってじっくり考える労力は払わない。なんかよさそう!!とか思わんから
・頭上の看板(社名とか書くパネル)に「LINE」とかコピーデカデカとあるが、カテゴリが飽和してきたらサブカテゴリ出した方がいいかも?
→気づいてない新しいソリューションに出会いたい潜在ニーズあると思うから。知ってるカテゴリなら報酬予測誤差がない。
・壁白いままなくらい掲示物とか装飾がないと、全然ブースに目が止まらない
→素通りが加速する。アイキャッチがないからだろう。展示会に最低限のブース装飾投資をしないと、全然効果を得られない。成果の一線を越えるポイントがあると思う。
→認知心理学の
・その後1〜2秒前後で「自分に関係あるか・嫌か良いか」(意味づけ・感情のステージ)
のステージで離脱しやすい感じがする。
大前提として展示会については立地がすべてで、主要動線にあるかどうかがまずは大事。
さらに展示会は終えた後も本番。リード獲得後のアプローチが大事。
こちらは、瞬間認知心理学というミクロな視点で気づいたメモの共有でした。
<まとめ with AI>
展示会では「説明の前に、まず何屋と認知されるか」が勝負になる。
打ち手:看板・呼び込み・配布物の第一声は、社名や流行語ではなく「誰の、何の課題を、どう解決するか」まで数秒で伝える。
来場者は立ち止まって理解してくれない。理解コストが高いコピーは、その場ではほぼ負ける。
打ち手:「ECに没入を」のような抽象コピーより、「ECサイトの購入率改善」「LINEアカウント運用支援」のようなカテゴリ直球表現を優先する。
営業圧は悪ではないが、防御反応を起こす圧は逆効果になりやすい。
打ち手:チラシやノベルティは胸元に突きつけるのではなく、相手の歩行・手元・視線の流れに合わせて、自然に受け取れる位置に差し出す。
複数人で待ち構える布陣は、接客体制ではなく“包囲感”として知覚される可能性がある。
打ち手:ブース前に横並びで立たず、1名が前、他メンバーは少し下がるなど、来場者が逃げ道を感じられる配置にする。
無名企業ほど、社名訴求よりカテゴリ訴求のほうが強い。
打ち手:頭上看板・壁面・配布物の最上部には、社名よりも「何屋か」が一目でわかる言葉を大きく出す。
カテゴリが飽和している場合は、カテゴリ名だけでは報酬予測誤差が起きにくい。
打ち手:「LINE支援」だけでなく、「休眠顧客を再購入につなげるLINE運用」など、サブカテゴリや具体成果まで絞って見せる。
“展示できるもの”があるブースは、売り込みなしでも体験が成立する。
打ち手:無形商材でも、事例パネル、改善前後、管理画面、診断シート、ミニデモなどを置き、来場者が自分で理解できるセルフ展示にする。
ブース装飾は見栄えではなく、注意を獲得するための最低限の投資。
打ち手:白壁のまま出すのではなく、遠目でカテゴリ、近目で課題、足元・手元で資料というように、距離別に情報設計する。
今週も頑張りましょう!
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